オンライン大学は、日本だけでなく海外にも存在します。その中でも特徴的なのがミネルバ大学というオンライン大学です。
開校して以来、世界中のエリートが注目しているというミネルバ大学。その特徴や魅力をご紹介します。
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目次
ミネルバ大学の概要
ミネルバ大学(Minerva Schools at KGI)は、2014年に開校したアメリカの私立大学です。アメリカの大学は学費が高騰し、経済的に豊かな家庭でなければ大学教育を受けづらいという問題が発生していました。
そんな中、コストを削減したうえでプログラムの質を高めたいとする創始者の思いを形にしたのがミネルバ大学です。現在は大学課程だけでなく、大学院課程も展開しています。
大きな特徴は、少人数参加型のオンライン授業と世界各地に点在する全寮制システムにあります。
アクティブラーニングを主体とした少人数参加型のオンライン授業
ミネルバ大学の授業は、すべてオンラインで行われます。授業を受けるために特定の場所に出かける必要はなく、パソコンとインターネット環境を用意すればどこででも授業を受講できます。
オンライン授業には、録画した授業をネット上で閲覧したり、会議ツールなどでライブ配信される先生の授業を受け身的に聞いたりするタイプのものもあります。
一方で、ミネルバ大学の授業はディベート形式をとるため、参加する学生は主体的に参加することが求められます。1クラスの参加者は18人以下の少人数で構成されており、活発に議論できる環境が整っています。
なお授業の様子はすべて録画され、発言内容は即時文字起こしされます。授業の内容を後から見直して、フィードバックしやすい仕様になっていますね。
なおミネルバ大学における先生は学生の発言を促す役割に徹しており、答えを教えてくれることはありません。授業にしっかり参加するためにも、必要な知識は事前学習で身に着けておく必要があります。
世界7か所を拠点とする全寮制システム
ミネルバ大学の大きな特徴は、全寮制システムを取り入れているところです。
ミネルバ大学はキャンパスや図書館などの施設を持っていません。代わりに以下の世界7か所に寮を構えています。
- サンフランシスコ(アメリカ)
- ソウル(韓国)
- ハイデラバード(インド)
- ベルリン(ドイツ)
- ブエノスアイレス(アルゼンチン)
- ロンドン(イギリス)
- 台北(台湾)
ミネルバ大学では、学年ごとに所属する寮が変わります。
例えば1年次はサンフランシスコの寮に、2年次前半はソウル、後半はハイデラバードの寮に…というように学年によって住む都市が変わってくるのです。4年間で世界中を渡り歩く、それがミネルバ大学の大きな特徴です。
ミネルバ大学の学生は、住んでいる都市の政府、NGO、パートナー企業等と連携したプロジェクトに参加します。そして多様な文化や民族とのふれあいの中で実践的な学びを体得していくのです。
ミネルバ大学には付属図書館などの施設はありません。代わりに住んでいる都市の図書館や文化施設を利用して学びを広げていける仕組みです。
ミネルバ大学のカリキュラムと専攻
ミネルバ大学の1年次は、学びの基礎概念を固める時期です。各専攻に共通するような方法論を学んでいきます。
1年次の基礎学習は次の4つのコースに分かれています。
- Formal Analyses(形式分析)…批判的な思考を学ぶ
- Multimodal Communications(多様なコミュニケーション)…ディベートや芸術的表現など効果的なコミュニケーションについて学ぶ
- Empirical Analyses(実証分析)…創造的な思考について学ぶ(仮説テストや情報に基づいた推測など)
- Complex Systems(複雑なシステム)…人間がシステムの一員としてどのように機能するかを学ぶ。例えば因果関係と相互作用、リーダーシップや交渉についてなど。
2年次では、次の5つのコースから専攻を選び、学びを深めていきます。
- 芸術と人文科学
- ビジネス
- 計算科学
- 自然科学
- 社会科学
3年次からは各専攻に沿ったキャップストーンプロジェクト(学んだ知識を総動員して取り組む実践的課題解決プロジェクト)がスタート。4年次ではキャップストーンプロジェクトを完成させ、プロジェクトを説明する論文を執筆します。
ミネルバ大学の入試方法と合格率
ミネルバ大学は、オンラインで出願および入学試験が受験できます。出願画面では受験者の思考を問う問題の他、自己アピールするステップもあります。
ミネルバ大学には定員が無く、出願に当たって国外学生を受け入れるための英語のテスト条件(TOEFL等)も必要ありません。それでも合格率は非常に低くなっています。
2020年には、180の国から25,000件の申請があったものの、入学できたのはその中の2%。合格率2%はハーバード大学のような名門校よりも低く、超難関校と話題になっています。
参照:The future of education or just hype?|the guardian.com
ミネルバ大学の学費
ミネルバ大学は運営コストを抑えることにより、他の大学よりも授業料を安くしています。
しかし、全寮制のミネルバ大学では純粋な学費以外に住宅サービス料なども必要になります。
授業料自体は年間約20,000ドルですが、トータルコストは1年で約35,000~40,000ドルほどかかります。
2023年5月30日の為替レートが1ドル約140円なので、年間490万~560万円ほどの学費が必要です。これ以外に、世界を移動するための旅費や生活費も考慮に入れる必要があります。
今は円安なので、海外の学費や生活費が高騰している点に注意しましょう。
なお、ミネルバ大学ではローン制度や奨学金制度を利用可能です。
ミネルバ大学のまとめ-向いている人は?
ミネルバ大学は、オンラインで受講できる大学ですが、一般的な通信制大学のシステムとは一線を画しています。
ミネルバ大学の授業はパソコンと通信環境さえあればどこでも受講できます。しかし、それは日本にいながら海外の大学に入学できるという意味ではありません。世界7か国にまたがる寮に所属しながら、体を張って学ぶのがミネルバ大学の大きな特徴です。仕事や家事育児と両立しやすい日本の通信制大学と一緒に考えることはできません。
またミネルバ大学は経費を削減して学費を安く抑えているのが特徴ですが、これは一般的なアメリカの私大などと比較しての話です。日本の大学と比較すれば、ミネルバ大学の学費の方がずっと高いです。
また合格率が非常に低いため、申し込みをしても入学できるとは限りません。
ミネルバ大学はオンラインで受講できますが、日本の通信制大学のメリットである「安い」「家事育児、仕事と両立できる」「入学しやすい」が当てはまらないことに注意が必要です。
ミネルバ大学のメリットは、手軽さではなく他の大学では得られないような新鮮な学習体験にあるといえるでしょう。
このような点を総合すると、ミネルバ大学に向いている人の特徴は以下のように考えられます。
- 世界中を回りながら勉強したい人
- 英語に自信があり、新しい言語を学ぶのに意欲的な人
- 時間やお金に余裕がある人
ミネルバ大学に興味を持たれた方は、一度公式ホームページをのぞいてみてください。こんな大学もあるのか、と驚くことは間違いないです。