弁護士は、高学歴でなくてはなれないと思っていませんか?実は、高卒の人でも通信制大学を利用すれば、司法試験を経て弁護士を目指すことができます。
ただし、弁護士になるためのルートはいくつかに枝分かれしているため、計画的に進路を進めていかないと、費用や時間が無駄になる可能性があります。
この記事では、高卒の人が通信制大学を利用して弁護士になるための方法を分かりやすく説明していきます。
⇒法学部のある通信制大学一覧。卒業しやすい&おすすめはどこ?
目次
弁護士になるには?
まず、高卒が弁護士になるためのルートマップをざっくり確認してみましょう。
【その1】
- 司法試験予備試験を受験し、合格する
- 司法試験を受験し、合格する
- 司法修習を受ける(1年間の実務実習)
- 司法修習生考試に合格する
【その2】
- 4年制大学に入学、卒業する
- 法科大学院に3年通い、卒業する
- 司法試験を受験し、合格する
- 司法修習を受ける(1年間の実務実習)
- 司法修習生考試に合格する
【その3】
- 大学の法学部に入学、卒業する
- 法科大学院に2年通い、卒業する
- 司法試験を受験し、合格する
- 司法修習を受ける(1年間の実務実習)
- 司法修習生考試に合格する
最短ルートは司法試験予備試験!ただし難易度は高い
受験資格がいらない「司法試験予備試験」に合格して、司法試験の受験資格を取得するルートが高卒の人が弁護士を目指す最短ルートです。
ただし司法試験予備試験は非常に難しく、合格率は3~4%ほどしかありません。司法試験自体ももちろん難易度は高いですが、合格率は20%後半から、高い時になると45%以上あります。
本番の司法試験よりも本番前の司法試験予備試験の方が合格率が低いことになります。
司法試験予備試験は受験資格を問われないので高卒でも受験可能ですが、その一方で法律について学ぶ環境を自分自身で整えなくてはなりません。
そのため難易度は上がると思われます。本当に最短ルートになるかどうかは本人の努力と実力次第といえます。
⇒法学部のある通信制大学一覧。卒業しやすい&おすすめはどこ?
高卒から弁護士を目指すなら通信制大学法学部がおすすめ
高卒の人が司法試験予備試験を受験せずに弁護士を目指すなら、一度大学を出て法科大学院に入学する必要があります。
このルートなら、専門家からしっかり法律を学びつつ司法試験の勉強ができます。しかし、社会人になってから大学で学ぶのは時間やお金が許さない場合もあるでしょう。
そんな人にとって最適なのが、通信制大学の法学部への入学です。通信制大学ならば、学習のほとんどを自宅で進められるため、社会人でも勉強を続けやすいのです。通学制の大学に比べて比較的費用も安いので、金銭的な負担も少なくて済むでしょう。
また大学の法学部を卒業していれば、その後の法科大学院に通う年数が2年と短くなり、他の学部の大学を卒業している場合に比べて1年早く司法試験受験資格が手に入ります。
法科大学院に通うための戦略は必要
ただしこのルートを選ぶ場合は、大学を出た後法科大学院に通う必要があります。通信制大学は自宅学習中心で卒業が目指せますが、2023年現在通信制の法科大学院は開校されていません。
社会人が通う場合は、夜間の法科大学院を選ぶ必要が出てくるでしょう(ただし夜間の法科大学院は平日のカリキュラムを夜間に集中して行うため、通常コースの法科大学院に比べて修了までの年数が長くなります)。
また仕事の時間を融通しやすい自営業者なら、通常の法科大学院に通うことも検討できるかもしれません。
弁護士になりたい気持ちが強いなら、通信制大学を卒業後、一度今の仕事を離れて通常の法科大学院に昼間通うという選択肢もあります。
この時、学費や生活費がネックになってきますが、「専門実践教育訓練給付金」という制度を利用すると学費の一部が給付される場合があります。また令和7年3月31日以前に対象の法科大学院で勉強する場合、「専門実践教育訓練支援給付金」という生活支援給付金を受け取れる可能性があります。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000921380.pdf
これら給付金は支給のための条件が細かく決まっているので、まずは最寄りのハローワークに問い合わせてみることをおすすめします。
通信制大学から法科大学院のルートを選ぶ場合は、大学卒業後にどのような形で法科大学院に通うのかも考えておきましょう。
また通信制大学で法律の基礎を固めてから、司法試験予備試験を受験し司法試験を受けるというルートも考えられます。
司法試験を目指す!法学部がある通信制大学一覧
ここからは、司法試験を目指す人のために法学部がある通信制大学を一覧形式で紹介していきます。
近畿大学 法学部 法律学科
大学 | 近畿大学/近畿大学短期大学 |
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学部 学科 | 【大学】 法学部法律学科 【短期大学】 商経科 |
住所 | 東大阪市小若江3-4-1 |
アクセス | 近鉄大阪線・長瀬駅下車、徒歩約10分 近鉄奈良線・八戸ノ里駅下車、徒歩約20分 |
学費 | 【入学金】 2万円 【年間授業料】 15万円 【学費の目安】 大学4年間で卒業の場合:約72万円 大学2年間で卒業の場合(3年編入時):約48万円 短大2年:約38万5千円 【奨学金・教育ローン】 日本学生支援機構 近畿大学通信教育部奨学金 |
入学時期 | 春期・秋期 |
選考方法 | 書類のみ |
偏差値 難易度 | 40~65(通学課程の偏差値) やや易(難易度) |
編入制度 | 2年生編入(30一括単位認定) 3年生編入(60一括単位認定) |
スクーリング会場 | ネット、全国+台湾 |
オンライン環境 | オンライン授業のみで単位の取得可能 *卒業ゼミナールのみ通学必修 |
学習サポート | 学習会 巡回相談会 学習センター WEB学習質疑 WEB学習相談会 |
就職サポート | キャリアセンターの利用可 司書コース向け図書館支援業務会社の説明会あり |
卒業率 | 43%(4年間で卒業できた人) |
その他 |
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資料請求 | 資料請求はこちら |
近畿大学通信教育部には、法学部法律学科があります。憲法・民法・商法・刑法などの六法科目を中心に学習します。
近畿大学通信教育部は、科目試験とスクーリングがオンラインで実施されているため、どこに住んでいても授業が受けやすいという特徴があります。
ただし、法学部を卒業するための卒業ゼミナールだけは出席が必要です。卒業ゼミナールは2泊3日の合宿形式になりますのでご注意ください。
中央大学 法学部
大学 | 中央大学 |
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学部 学科 | 法学部 |
住所 | 東京都 八王子市 東中野742-1(多摩キャンパス) |
アクセス | 多摩モノレール「中央大学・明星大学駅」下車すぐ |
学費 | 【入学時のお支払い】 入学検定料 :10,000円 入学金 :20,000円 基本授業料: 80,000円/年 【年間のお支払い】 基本授業料 :80,000円 【その他の費用】 スクーリング費用:5,000~20,000円 学習補助ツール:2,000円/年 メディア教材:3,000円/科目 追加履修費:2,500円/単位 郵便料金、教科書代 【学費の目安】 4年間:528,000円 【奨学金・教育ローン】 日本学生支援機構奨学金(貸与型) 白門奨学会「水野冨久司冠奨学金」(隔年給付型) |
入学時期 | 春期・秋期 |
選考方法 | 書類のみ |
偏差値・難易度 | 52.5~65.0(通学課程の偏差値) 普通(難易度) |
編入制度 | 2年生編入 3年生編入 ※もと中央大学正科生の場合 ※単位認定は以前習得済みの単位のみ(ただしすべてが換算されるとは限らない) |
スクーリング会場 | 全国、ネット |
オンライン環境 | レポート、スクーリング、オンライン(2022年度) |
学習サポート | 全国の学生会支部でのサポート |
就職サポート | 個人面談や就職ガイダンス |
卒業率 | 約26%※ |
その他 |
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資料 | 中央大学に資料請求しよう。 |
中央大学法学部の通信教育課程は学費が安く初年度学費は11万円です。
インターネットを使ったオンデマンド授業で、通学なしでも卒業できるのが魅力です。
中央大学法科大学院もあるため、通信教育課程を卒業後に法科大学院で学び、司法試験受験を目指すこともできます。
中央大学の法科大学院は司法試験合格率が高く、2006~2022年の間ずっと合格者数トップ10校の中にランクインしています。
中央大学法学部の通信教育課程の卒業生には、卒業後夜間の法科大学院に進学して最終的に司法試験に合格した方もいます。
学習の難易度は高めですが、司法試験合格を目指す人にはおすすめの通信制大学です。
日本大学 法学部
大学 | 日本大学 |
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学部 学科 |
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住所 | 東京都千代田区九段南4-8-28 |
アクセス | 1.JR中央・総武線(各駅停車)市ケ谷駅下車 徒歩3分 2.都営地下鉄新宿線,東京メトロ有楽町線・南北線 市ヶ谷駅A2出口から徒歩2分 |
学費 | 【入学時のお支払い】 選考料 :10,000円 入学金 :30,000円 授業料:100,000円/年 補助教材費:5,000円/年 校友会費:3,500円/年 【2年目以降のお支払い(年額)】 授業料 :100,000円 補助教材費:5,000円 校友会費:3,500円 【その他費用】 スクーリング受講料/講座: 東京・夜間 10,000円 地方スクーリング 13,000円 メディア授業 20,000円文理学部生の場合 卒業論文指導費:5,000円 卒業論文審査費:10,000円 総合面接質問費:10,000円該当者のみ 教育実習費:25,000円 教育実践演習受講料:10,000円 介護等の体験費:16,000円 博物館実習費Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ:各20,000円 【学費の目安】 4年間:1,150,000円 【奨学金・教育ローン】 日本大学特待生 通信教育部奨学金・通信教育部坂東奨学金 高等教育の修学支援新制度 日本学生支援機構奨学金(貸与型) ジャックスの教育ローン |
入学時期 | 春期・秋期 |
選考方法 | 書類のみ(必要に応じて面接) |
偏差値・難易度 | 35.0~67.5(通学課程の偏差値) |
編入制度 | 2年生編入(最大31単位認定) 3年生編入(最大62単位認定) |
スクーリング会場 | 全国 |
オンライン環境 | メディア授業 |
学習サポート | 全国の学習センター、Zoom、窓口、研究室開放(※ただし令和4年度は実施予定なし) |
就職サポート | キャリアカウンセラーによる個別就職支援 就職ガイダンス 就職支援サイトNU就職ナビの提供 |
卒業率 | 非公開 |
その他 |
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資料 | 教職(中学・高校)コース・学芸員コース・司書教諭コースの資料請求はこちら |
日本大学通信教育部はスクーリングなしで卒業できる通信制大学です。
通学制法学部の学生研究室に入室すれば、弁護士・司法書士などの国家試験サポートが受けられる点が特徴です。全国の学習センターやZoomを使って学習サポートも受けられるので社会人でも続けられる。
慶應義塾大学 法学部
大学 | 慶應義塾大学 通信教育課程 |
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学部 学科 | 文学部 経済学部 法学部 |
住所 | 東京都港区三田2-15-45 |
アクセス | ・田町駅(JR山手線/JR京浜東北線)徒歩8分 ・三田駅(都営地下鉄浅草線/都営地下鉄三田線)徒歩7分 ・赤羽橋駅(都営地下鉄大江戸線)徒歩8分 |
学費 | 【入学時のみ】 選考料:2万円 入学金:3万円 【毎年支払う】 在籍基本料3万/年 授業料:14万円/年 【スクーリング受講料】 夏期・体育・実験・夜間・週末(1単位)5千円 大阪(2単位)2万5千円 メディア授業(2単位)2万円 【4年間の学費総額】 86万円(目安) 【3年生編入して2年間の学費総額】 53万円(目安) 【奨学金】 三田会記念大学奨学金(給費) |
入学時期 | 春期・秋期 |
選考方法 | 書類、志望理由書 |
偏差値・難易度 | 60~72.5(通学課程の偏差値) かなりレベルが高い(難易度) |
編入制度 | 特別課程(総合教育科目の単位が認定) 学士入学(総合教育科目の単位が認定) |
スクーリング | 【夏期スクーリング】 8月に連続6日間集中 【夜間スクーリング】 平日の夜間に開講 【週末スクーリング】 土日集中型 【大阪】夜間スクーリング、週末スクーリングにて1科目のみ開講 |
オンライン環境 | メディア授業あり |
学習サポート | あり |
就職サポート | なし |
卒業率 | 非公開(かなり低い) |
その他 | |
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慶応義塾大学と言えば知名度は抜群ですが、それだけに卒業はかなり難しいという評判です。
明治から続く伝統的な大学で法律を真剣に勉強したいという人は、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
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法政大学通信教育部 法学部
大学 | 法政大学 通信教育部 |
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学部 学科 |
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住所 | 東京都千代田区富士見2-17-1 |
アクセス | 「市ケ谷駅」または「飯田橋駅」徒歩10分 |
学費 | 【初年度出願時納入金】 1年次入学生/12万円 2・3年次編入生/14万円 *出願時に選考料1万円、初年度教育費等、一括納入 *スクーリング、教職課程等の受講料は別途 *初年度に限り、教育ローンあり 【学費総額(目安)】 1年生に入学:60万円/4年間 2年生に編入:48万円/3年間 3年生に編入:34万円/2年間 |
入学時期 | 春期・秋期 |
選考方法 | 書類のみ |
偏差値・難易度 | 52.5~65(通学課程の偏差値) 高い(難易度) |
編入制度 | 2年生編入(一括24単位認定) 3年生編入(一括36単位認定) |
スクーリング会場 | 法政大学市ケ谷キャンパス 各都市年間1回(札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡) |
オンライン環境 | メディア授業あり、科目試験は会場にて実施。 スクーリングなしで卒業することも可能 |
学習サポート | あり |
就職サポート | なし |
卒業率 | 非公開 |
資格・教員免許 | |
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法政大学通信教育部の法学部は、大学通信教育課程の法学部の中では最も古い存在です。
通学課程と同じクオリティで授業を実践しているため、質の良い法学部の授業を受けたいという人には魅力的です。
ただし科目修了試験が会場受験限定なので、受験が可能な場所に会場があるかどうかは事前にチェックが必要です。
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