オンラインで学べる大学が増えている中、新しいオンライン大学のプロジェクトが始動しています。
それがZEN大学です。
N高等学校などオンライン教育に力を入れてきたドワンゴが構想する新しい大学の選択肢についてご紹介します。
※本記事の内容は2023年8月現在に公表されている情報をもとに執筆されています。開学までに詳細が変化する可能性がありますので、入学を検討される方は公式ホームページを随時確認してください。
目次
ZEN大学ってどんな大学?
ZEN大学は、多様化する教育環境や教育格差に対応すべく設置された日本発のオンライン大学です。ネットの学習だけで大学卒業資格が手に入ります。
地域的にスクーリング参加が難しい人や、仕事や家事育児などで忙しく自宅以外の場所で勉強しづらい人でも学びやすい環境が整っています。
また、ZEN大学はオンライン学習を中心にしつつも、リアルな体験学習の構築に力を入れている点も見逃せません。詳しくは、後述する「ZEN大学の特徴」をご覧ください。
N高校やN予備校との関係
ZEN大学は株式会社ドワンゴと公益財団法人日本財団が提携し、開学を目指している大学です。
株式会社ドワンゴと言えば、「ニコニコ動画」のサービスを思い浮かべる人も多いでしょう。実はドワンゴはウェブサービス事業だけでなく、教育分野にも力を入れているのです。
ZEN大学に先行して展開されているネットの学校N高等学校、S高等学校、N中等部のコンテンツはドワンゴが作成したものです。
またドワンゴは学習アプリN予備校の開発や教材作成も担当しています。ZEN大学ではN予備校のアプリのリニューアル版「ZEN Study」を通じて動画配信が行われる予定です。
ZEN大学の概要
募集人数
初年度入学定員5,000人
総定員20,000人(予定)
学費
38万円(1年間の総額)
開学時期
開学予定は2025年4月です。
※2023年8月現在仮設置状態になっています。
学部
知能情報社会学部
就職サポート
あり
学生交流イベント・サークル
あり
ZEN大学の特徴
ここからは、ZEN大学の特徴を具体的にご紹介していきます。
スキマ時間を使ったオンライン学習のみで大学卒業資格が取得できる
まず大きな特徴は、オンライン学習のみで大学卒業資格が取得できる点です。パソコンがあれば、場所にとらわれずにどこでも学習が可能です。
授業は90分間で、映像授業60分+ワーク30分間で構成されています。映像授業は6分割されて1セクション10分間にまとめられているのが特徴です。授業が一気に進みすぎるとついていけない、毎回90分も時間が取れないという人にはありがたいシステムですね。
135科目にわたる豊富な学習内容
ZEN大学に設置されている学部は「知能情報社会学部」のみですが、学べる分野はかなり広いです。「人文・社会」「情報」「数理科学」「デジタル産業」「クリエイティブ」の5分野に関連する科目が受講できます。最終的には135科目用意される予定になっています。
映像授業は1つ6セクションに分かれているため、135科目×15回×6セクションで12,150本もの映像授業を受講できることになります。
胸躍る研究プロジェクトの数々が設置予定
ZEN大学は学習だけでなく、研究に対しても力を入れています。さまざまな研究プロジェクトが設置されており、専門的な研究を深める体制が整っています。
IUGC
研究施設「Inter Universal Geometry Center(宇宙際幾何学センター)」を設立し、世界的な数学理論IUT理論(宇宙際タイヒミュラー理論)の普及と推進を図ります。
※IUT理論とは、京都大学の望月新一教授が提唱したもので、世界的な数学の未解決問題「ABC予想」を解決したとされる新しく画期的な数学理論です。
開設するコース全てに合格すれば、世界中のあらゆる大学の数学科の学生よりもIUT理論に関する知識が備わっている状態になります。
引用元:https://zen-univ.jp/project/iugc
第二松尾研
AI研究の第一人者、東京大学松尾豊教授の第二研究室も設置されます。
東京大学の松尾研究室とは若干趣旨が異なり、AIを使えるスキルを育てることが研究室の目的です。急速に発展するAIは既存の知識で対応しようとしても、後手後手になってしまうことが多いです。AIの進化速度に負けない最新の知識、スキルを身に着けたい人にとっては非常に魅力的な研究プロジェクトと言えるでしょう。
さあ、私と一緒にAIを研究し、変化を起こす側に回りましょう。そのために必要な知識と技術は十分に身に付けられるようにしていきます。
引用元:https://zen-univ.jp/project/matsuo_ken2
歴史プロジェクト
業界のキーパーソンへ取材し、その人たちの声である「ヒトの証言」を一次資料として保存していこうとする歴史プロジェクトです。IT、ゲーム、マンガ、アニメ、ネット文化など、日本が誇るコンテンツに対する取材を行い、収集したデータを世界中で見られるように公開していきます。未来に歴史をつなぐ意義のあるプロジェクトに参加するのはとてもわくわくしますね。
日本のコンテンツを世界に発信し続けるためにも、各産業の軌跡を言葉として残しておきたいですね。
引用元:https://zen-univ.jp/project/history
電子図書館が使い放題
通信制大学では、大学図書館が解放されている例が多いです。とはいえ蔵書を利用するためには、実際に大学まで行くか、郵送で本を取り寄せる必要がありました。
ZEN大学では、紀伊國屋書店が提供する学術電子図書館の「KinoDen」が使い放題になります。自宅から利用できる電子図書館が利用できるのは、オンライン学習においては非常に助かりますね。
リアルな体験もサポート
通信制大学では、就職支援がなかなか受けられないことが多いですが、ZEN大学ではインターンシップや職業体験が導入される予定です。
地域・企業連携プログラムでは、都市部、中山間地域、離島などの地域と連携したプロジェクトに参加し、体験の中で学びを深められます。オンライン・オフライン両面からの留学支援体制もあります。
また参加型イベント「ニコニコ超会議」のブース、ゲンロンカフェの対話型イベントへの参加や、プレゼンテーションイベントでの発表なども企画されています。ネットの世界を飛び出して、さまざまなフィールドで意見交換する場が用意されている点は注目に値するでしょう。
サークル活動に打ち込めるのも魅力です。一定の実績を残したサークルは大学公認のサークルとなり、活動費支援対象になります。
個性的な教員陣に魅力あり
ZEN大学の教員(予定)者には、各界の個性的なスペシャリストが名を連ねています。
その中の一部の方を紹介します。
・遠藤 諭 氏
『月刊アスキー』『東京おとなクラブ』の元編集長です。デジタル・サブカル分野で幅広く活躍している方です。
・竹内 薫 氏
数多くの著作を持つサイエンスライター・作家で、翻訳も手掛けています。『ゼロから学ぶ量子力学』『超ひも理論とはなにか』『ファインマン物理学を読む』など難しく見える科学の世界を分かりやすく解説する本を多数出版しています。
・藤澤 ー就 氏
囲碁のプロ棋士8段という異色の経歴をもつ教員です。新宿こども囲碁教室や天豊道場を主宰しており、たくさんの段位持ちの弟子を輩出しています。囲碁AI研究などを専門にしており、数学や化学とはまた別の方面からITについて学ぶことができそうですね。
ZEN大学の資料集
ZEN大学について興味が出てきましたか?もっと詳しく知りたい人は、以下のリンクを見てみてください。ZEN大学のことがより分かるはずです。